2017年04月03日
ツリバナ
「縫わんばならん」古川真人の小説を題名と装画が草間彌生の水玉模様に惹かれて読んだ。
長崎の島の方言が会話や思いのなかに使われていて、おっとりと柔らかいやりとりが心にしみる。
島の古い家がくずれてしまうのと同じように、婆ちゃんの頭の中にも綻びができてしまったのを、
あちこちかき集めて、記憶を縫い合わせようとするという優しさに満ちた、いい小説だった。
裏の雑木林にツリバナの木があって、枯れた蒴果が風に揺れている。芽のふくらみはまだない。
Posted by chi at 14:07│Comments(0)